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【第1回掲載分】児童精神科のかわいいお客さん

 当院で精神科を開設して以来、もう150人以上の子供達と会ったことになります。みんなかわいくて楽しくて、ちょっとユニークな子ども達ばかりです。

 春先にやってきたK君もその一人でした。
お父さんとお母さんと一緒に初めてやってきたのは、ちょうど3歳の誕生日の頃でした。
 K君は入ってくるなりおもちゃの方に歩いていき、遊びはじめました。こちらが声をかけても聞こえていないかのようで、こちらを見ようともしません。お母さんはちょっと困った風でしたが、どうぞと声をかけるとお父さんと二人で、こちらの前に腰を下ろしました。

 K君はお父さんお母さんにとって初めてのお子さんでした。赤ちゃんのときは人見知りもなく、手のかからないおとなしい子でした。それが、一歳を過ぎて歩くようになると、家の中をウロウロするようになり、目が離せなくなりました。呼んでも反応がないし、目も合わなくて、周りのことをまったく気にしていないかのようでした。母が抱いてあげようとしてもあまり喜ばす゛、かえって嫌がることもありました。一歳を過ぎても言葉が出ず、ちょっと心配でしたが、周りからは男の子は遅いからと言われて、そうかなと思っていました。

 1歳6ヶ月の健診の時に、保健婦さんから、言葉が出ていないことと、目が合わないこと、落ち着きがないことを指摘され、時々様子を教えてくださいといわれました。保健婦さんに誘われて、月に1回保健センターでやっている親子教室にK君とお母さんで出かけるようになりました。 
そのうち、こまのようにくるくる回ったり、爪先立ちでとことこ走りまわったり、手を目の前でひらひらさせて見入ったりといった変わった行動をするようになりました。自分で回るだけでなく扇風機や換気扇など回るものをじっと見ていたりもしました。また、水遊びが好きで、水道を見ると走っていってしまうため、出かけるのに注意が必要となりました。その頃はよくミニカーを一列に並べて遊んでいました。

 2歳を過ぎて言葉を少しずつ話すようになりました。「ママ」とか「ジュース」などの単語を話すようになった後、コマーシャルのまねをよく口ずさむようになりました。言葉の数は徐々に増えてきましたが、独り言のように話すことが多く、あまり話しかけてこない子でした。母が話しかけても、「これが欲しいの?」と聞くと、「これが欲しいの?」と同じように答えるような、オウム返しがよく見られました。
 その頃より、買い物に行くのに違う道を通ろうとするととても嫌がったり、いつも同じコップを使いたがったりといったこだわりが見られるようになりました。いつもと違うことに出会うと急に金切り声を出して叫ぶことがよく見られました。
 保健婦さんに様子を話したところ、一度専門家に診てもらったらとアドバイスを受け、当院の精神科を紹介されました。

 と、いう話をお父さんお母さんから伺いました。

 K君はその間、ミニカーを並べたり、積み木を積んだりして遊んでいました。おもちゃのふたが開かないときに持ってきて開けてもらうことがありましたが、後はお母さんの所に来ることは少なく、おとなしく過ごしていました。
 K君の様子とご両親の話から、自閉症といわれる障害をもったこどもさんであると考え、ご両親に診断についてお話しました。

 当院の精神科にはK君のような自閉症の子どもはたくさんやってきます。全体の半分以上は、自閉症ないし自閉症の仲間の障害の子です。
 自閉症といっても、その子によってあるいは時期によって様子は全然違い、すべてがK君と同じというわけではありません。「自閉」と言っても引きこもっているわけではなく、お話の大好きな子、人と付き合うのが大好きな子もたくさんいます。 
 自閉症の子に共通した特徴は、大きく3つあります。 
 一つは、人との付き合いの問題。視線があまり合わなかったり、家族にもあまり甘えてこなかったり、あるいは、付き合いがマイペースであったりといったようなことです。二つめは、言葉やコミュニケーションの問題。言葉の遅れや変わった使い方(オウム返し、独り言など)、ゼスチャーの乏しさ等です。
 三つ目は、こだわりや、興味の偏り、新しいこと・変化への抵抗等です。
 この、児童精神科に最もよく来てくれる、自閉症の子どもたちについて次回以降お話をしたいと思います。

 次回は、自閉症の子の特徴についてもう少し詳しくお話します。